3/1 「エミリの小さな包丁」
今日『エミリの小さな包丁』(森沢明夫著 KADOKAWA)を読み終わりました。
よい話でした。
最初表紙とタイトルを見て小学生位の女の子エミリが料理する話かなぁと思っていたのですが全然違いました。主人公のエミリは25歳。 嫌な出来事から逃げて15年ぶりに海辺の田舎に住むおじいちゃんちに行き、そこで無骨だけど優しいおじいちゃんとその料理に癒され、前を向いて一歩を踏み出せるまでのお話でした。
朝早く戌の散歩に出かけ、畑のおばちゃんに野菜をもらい、ちゃらい漁師のにいちゃんに肴をもらい、時には自分達で釣ってそしてそれらの食材でしっかりと料理して朝ごはんを食べる。いいなぁすごくいい、と思いました。料理の前には出刃包丁を丁寧に研ぐんです。いやーでも毎回研いでいたら本当に小さくなってしまうでしょうね。 そのおじいちゃん愛用の包丁をエミリはもらい自分でちゃんと研げるようになり、料理も上手になるんです。 その包丁はおじいちゃんの大事な人からの贈り物だったのです。ほのぼの話かと思いきや、東京にいた頃の職場の同僚から電話がありその子が遊びに来るって話になったんだけど・・・・ いやー要るよねー毒しかはかない奴。なんか発言が後ろ向きで周りまで嫌な気になっちゃう奴。 読んでいて「こんな奴の相手しなくていいよ、断っちゃえ!」と思ったんだけどやっぱり来ちゃうんだよねー そしてその夜、こっちの町でエミリが親しくなった漁師とカフェ経営をしていてエミリが心惹かれているサーファーと神社で出会った田舎町にいるのがもったいないくらい美人のお姉さまと飲み会するんだけど、その同僚だった奴がエミリが逃げ出した理由をべらべらしゃべるんだよね。居酒屋にいるみんなに聞こえるように。 なんて奴なんだろう。本当にものすごく嫌な奴。 漁師が追っかけてきてくれてフォローしてくれたものの、いやーマジあんな奴とはすぐ縁切るべきだね。
おじいちゃんは本当にいい人だよ。強いし優しいし。
料理はうまいし、作っている風鈴の音は素晴らしいし・・・
ただ残念な事にほぼ魚料理。 「食べたい!」という料理、「作ってみたい!」という料理がなかったのでした。
最後に包丁の秘密、嫌っていたお母さんのちょっとした本音がわかって なんか意外だなぁと思いつつ、でもやっぱり読後はとってもいい感じでした。
エミリ、しっかり働いて、休みの日にはおじいちゃんのところに戻ってきて欲しいな。
人の噂話なんて気にせず、じいちゃん、お母さん、エミリの3人で食卓囲んで欲しいな、と思いました。
世界は変えられなくても気分は変えられるのだ。 前を向いて幸せになることより満足できるように日々過ごしていくぞー
【商品解説】には
「信じていた恋人に振られ、職業もお金も、居場所さえも失った25歳のエミリ。藁をもすがる思いで10年以上連絡を取っていなかった祖父の家へ転がり込む。
心が荒みきっているエミリは、人からの親切を素直に受け入れられない。しかし、淡々と包丁を研ぎ、食事を仕度する祖父の姿を見ているうちに、小さな変化が起こり始める。食に対する姿勢、人との付き合い、もののとらえ方や考え方……。周囲の人たち、そして疎遠だった親との関係を一歩踏み出そうと思い始める――。「毎日をきちんと生きる」ことは、人生を大切に歩むこと。人間の限りない温かさと心の再生を描いた、癒しの物語。」と載っていました。
じゃあね
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