3/8 「紙の動物園」
今日は『紙の動物園 (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)』(ケン・リュウ著 早川書房)を読み終わった。
短編集です。 作者が中国人だったので読む気は無かったのですが、森下一仁さんの2015ベストSFでこの本がいい、という投票があったため読んでみることにしました。
タイトルになっている「紙の動物園」そして2つ目に入っている「もののあはれ」丁度この2作が通勤の電車の中で読んだのですが、2つともラストは涙が出てきてとても困りました。 ただとってもよかったです。
「紙の動物園」は最後、母親からの手紙に息子への愛が溢れまくって、その母親をずっと無視してきた息子の気持ちと無視され続けてきた母親の気持ち、どっちも感じることが出来てじーんときてしまったのでした。 「もののあはれ」はなんと日本人が主人公。読んでいてこの話は絶対東日本大震災を見た後に書いたのだなぁと思いました。震災のときの日本人の凛とした態度がきっと外国人に与えたであろう日本人に対する見方、になっていたと思います。 主人公は久留米に住んでいたので同じ九州ってだけでなんかほっこりきました。 それでも最後、自己犠牲の中ヒーローとなっていったヒロト。あー、もうやっぱ泣けてくる。
15の話が載っていたけど、「文字占い師」は重かった。最近拷問とか政治の駆け引きとか続けて読んでいたのでもうしばらくは要らないって気分。 宗教、主義、思想、そんなセンシティブなことは一人で思っている分には全然良いんだけど、人に強要したり違う人を排除したり、そうしたがるからやっかいなのよねーー 丁度池上彰のテレビを見た後だったので台湾の事や共和党のことなどちょっと知識があってよりわかりやすかった。 リリーが父親に言ってしまった「制海権」。正直に家の中に落ちていた手紙を読んでしまったって父親に話していたら甘さんもテディもあんなことにならずにすんだのだろうか?
テッド・チャンと比べるとテッド・チャンの方がより好みのように思えたのは中国色が少なかったせいかなぁ? ケン・リュウは物心がつくまで中国にいた後アメリカに家族で引っ越して大きくなっていったらしいけど、日本についても何度か出てきた。いいときもあれば悪者のときもあっった。中国についても出てきた。あと不老不死を目指す話も。 「円弧」なんか切ないねぇ。
ものすごくたくさん作品を作り出しているようだけど、今後見かけたら必ず読むかどうかは微妙です。
【「BOOK」データベースの商品解説】では
「ぼくの母さんは中国人だった。母さんがクリスマス・ギフトの包装紙をつかって作ってくれる折り紙の虎や水牛は、みな命を吹きこまれて生き生きと動いていた…。ヒューゴー賞/ネビュラ賞/世界幻想文学大賞という史上初の3冠に輝いた表題作ほか、地球へと小惑星が迫り来る日々を宇宙船の日本人乗組員が穏やかに回顧するヒューゴー賞受賞作「もののあはれ」、中国の片隅の村で出会った妖狐の娘と妖怪退治師のぼくとの触れあいを描く「良い狩りを」など、怜悧な知性と優しい眼差しが交差する全15篇を収録した、テッド・チャンに続く現代アメリカSFの新鋭がおくる日本オリジナル短篇集。」となっていました。
今日までは暖か。
明日は休んで法事。でも天気が悪そうね。
じゃあね
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